東電

2022年01月24日

東電 問われる管理能力柏崎刈羽原発7号機 手抜き溶接 2022/01/24

東電 問われる管理能力柏崎刈羽原発7号機 手抜き溶接 2022/01/24 08:25

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手抜き溶接問題について記者会見で語る東京電力柏崎刈羽原発の稲垣武之所長(右)=2021年12月24日、同原発

 東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の消火配管で多数の手抜き溶接が見つかった問題で、東電は今月、1580カ所に上る工事のやり直しを始めた。溶接は原発を安全に稼働させる上で不可欠の技術でありながら、東電にノウハウがなく、下請け業者に依存してきた分野。東電は匿名の「告発」があるまで不正に気付くことができず、原発を隅々まで把握しきれていない実態がまたも露呈した。やり直し工事の適正な遂行とともに、東電の原発の管理能力があらためて問われている。

 「溶接は私どもがあまり親しんでいなかった分野だった」。昨年末、手抜き溶接を公表した記者会見で、同原発の稲垣武之所長は東電の「弱点」を率直に認めた。

 手抜き溶接の発覚は、昨年3月にあった匿名の情報がきっかけ。調査の結果、6号機に続き、東電が再稼働を目指す7号機でも不正の事実が確認された。東電は9月に、他人のIDカードを使った中央制御室への不正入室問題などに関する再発防止策をまとめたばかり。東電が改革を誓った矢先に発覚した新たな不祥事だった。

 対策として、稲垣氏は、外注業務の知識や経験などを手の内にいれる「手の内化」という言葉を使いながら、作業を直営で試行するなどして管理体制の向上を急ぐとした。

   ■    ■

 原発は多くの複雑なシステムからなる巨大施設だ。点検や修繕工事などの業務が、何層にも重なった多くの下請け業者に支えられている。その末端で頻発する不正や失態は、これまでも東電の頭痛の種となってきた。

 東電も課題を自覚し、「安全最優先」の文化を定着させようと、社内の研修強化などに取り組んできている。再発防止策にも下請け業者を含めた意識改革を挙げるが、事態はなかなか改善しない。

 7号機では昨年、火災感知器が消防法の規則を満たさない場所に設置されていたことも発覚した。工事を担当した業者の確認不足が原因で、東電も立ち会い確認で誤りを正すことができなかった。

 県技術委員会委員で、品質管理などが専門の浅田義浩氏は「東電は品質管理が弱い」と印象を語る。

 「辺縁現象といって、問題は組織の端で起きることが多い。中枢が懸命に取り組んでも、その意識が薄い末端でエラーが起きる」と指摘。結局、安全の最終責任は発注者の東電にあり、末端を管理しきれない甘さが原発で相次ぐ問題の背景にあるとみる。

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 東電は1580カ所に上る溶接工事のやり直しに踏み切った。思い切った判断にも映るが、やり直しの対象は、不正が見つかった消火配管の溶接を受注した業者の担当部分などに限られる。大量の気体や水を扱う原発構内には、消火配管以外にもさまざまな配管が血管のように張り巡らされ、溶接箇所は無数にある。

 同じく県技術委委員の岩井孝氏=核燃料工学=は「他の配管溶接は適正に行われたのだろうかと私も思うし、一般の人も思うだろう」と懸念する。

 東電は、原子炉の運転に直接関わるような重要配管については「施工方法や性能検査のチェックが(不正のあった)消火配管より厳格だ」と強調。業者や原子炉メーカーに「適切に行われていると確認している」とする。

 自前の溶接技術の蓄積は一朝一夕にはいかない。東電が掲げる「手の内化」の実現と品質管理の向上が、相次ぐ失態で失った信頼の回復に向けた試金石になる。

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2021年12月25日

7号機でも手抜き溶接74カ所柏崎刈羽原発 1580カ所の作業やり直し 2021/12/25

7号機でも手抜き溶接74カ所柏崎刈羽原発 1580カ所の作業やり直し 2021/12/25 08:25

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柏崎刈羽原発7号機でも見つかった手抜き溶接工事について、会見で説明する東京電力新潟本社の橘田昌哉代表(左)=24日、同原発

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)6号機の消火配管で30カ所の手抜き溶接工事が発覚した問題で、東電は24日、再稼働を目指す7号機でも74カ所で同様の手抜きが見つかったと発表した。施工した一部の下請け会社が必要な手順を省いたにもかかわらず、「適正に行った」と虚偽報告することが常態化していたことも判明。元請け会社の現場確認も不十分だった。東電は7号機で、この下請け業者の担当箇所など1580カ所の溶接をやり直す。来年1月に始めるが、完了時期は見通せないという。

 東電によると、手抜き工事があったのは原発の火災時に消火剤を通す固定式消火設備。ステンレス製配管を溶接でつなぐ際、酸化による腐食を防ぐためのガスを配管内に流す手順が作業指示書で定められていたが、実施されていなかった。

 溶接工事の元請けは東電グループ会社の東京エネシス(東京)で、同社の下請け6社が施工を担当した。

 エネシスの聞き取り調査によると、うち1社の傘下の溶接士の多くが、定められた手順を守らずに溶接していたと証言した。

 ガスボンベの搬出入や、ガスを流す作業に時間がかかることが動機だったとしている。手抜きを始めた時期は、遅くとも2019年9月という。

 この下請けが担当した7号機消火配管のうち、194カ所を抽出調査し、74カ所で正規の手順と異なる溶接の痕跡が見つかった。

 他の下請け3社が担当した消火配管でも、317カ所で酸素濃度の測定が不十分だったことが判明した。

 東電は手抜きが常態化していた1社が担当した消火配管1220カ所と、新規制基準で義務化されていない自主対策設備43カ所、発注仕様通りに施工されていない3社の消火配管317カ所の計1580カ所の溶接を再施工するよう、エネシスに要求した。

 エネシスは具体的な溶接方法を施工会社に任せ、工事担当者は施工状況を施工記録のみで確認していた。東電はエネシスの施工管理に手落ちがあったとして、一部工事を除き、同社への発注を9月から停止した。

 東電新潟本社の橘田昌哉代表は柏崎刈羽原発で開いた会見で「決められたことがきちんとできていなかったことを重く受け止めている」と述べ、再発防止対策に取り組む考えを示した。

 柏崎市の桜井雅浩市長は24日、市役所で報道陣の取材に応じ、「消火設備の不正施工は重大な問題だ。号機を問わず調査を進めるべきだ」と述べた。

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2021年11月30日

対テロ不備 不適切措置 15年からか柏崎刈羽原発 規制委、気付かず「合格」 2021/11/30

対テロ不備 不適切措置 15年からか柏崎刈羽原発 規制委、気付かず「合格」 2021/11/30 08:25

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東京電力柏崎刈羽原発

 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備が相次いだ問題で、東電は2015年度から既に侵入検知設備が故障した際に不適切な代替措置を取っていた可能性があることが29日、分かった。同原発6、7号機は17年12月に原子力規制委員会による新規制基準適合性審査に合格しており、規制委がテロ対策の不備に気付かないまま安全性を認めた疑いが浮上した。

 東電がこれまでに公表した報告書などによると、同原発の侵入検知設備が故障した際、社員1人がカメラで監視する代替措置を講じた。ただ、この社員は別の業務も兼ねており、目を離すことがあった。

 この代替措置について、県議会の非自民党無所属議員でつくる会派「リベラル新潟」が今年4月の県議会連合委員会で参考人招致された東電幹部に開始時期を尋ねたが、回答を得られなかった。リベラル側はその後も再三、東電に回答を求めたが、東電は「調査中」などとして答えなかった。

 東電は9月、同原発での核物質防護不備に関する報告書を規制委に提出。この中でも代替措置が始まった時期は明示しなかった。

 関係者によると、東電は近くリベラルに対し、代替措置を取ったことが確認できたのは、記録が残る範囲で「2015年4月4日」が最も古いとする回答を示すもようだ。東電新潟本社は新潟日報社の取材に対し、回答を用意していることは認めたが、内容を明らかにしなかった。

 代替措置の時期を巡り、リベラルは、規制委が東電の不適切な代替措置を見落としたまま、6、7号機を合格させたとの疑念を持っている。リベラルの重川隆広幹事長はこれまでの取材に「規制委のチェックの在り方に問題を感じている」と述べている。

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2021年11月08日

<視点>繰り返す約束違反、東京電力に原発を動かす資格はない 社会部・小野沢健太 2021年11月8日 09時40分

<視点>繰り返す約束違反、東京電力に原発を動かす資格はない 社会部・小野沢健太 2021年11月8日 09時40分

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新潟県の花角英世知事(右)に頭を下げる東京電力の小早川智明社長(左から2人目)=2021年3月25日、新潟県庁で

 福島第一原発事故を起こした東京電力が、重大な約束違反を繰り返している。再稼働を計画する柏崎刈羽原発(新潟県)では審査時の約束を守らず、テロの脅威にさらした。福島第一原発でもずさんな廃棄物管理が相次ぎ、リスクを増大させている。正常な組織運営ができない東電に、原発を動かす資格はない。

 東電は柏崎刈羽の再稼働審査で「安全性をおろそかにして経済性を優先することはしない」と誓った。その約束を原発の管理手順を定める保安規定に明記し、原子力規制委員会は2017年12月に6、7号機の事故対策について新規制基準適合と決定した。

 しかし、柏崎刈羽では15年ごろから敷地内への不正な侵入を検知する装置の故障が多発。すぐに修理せず、複数の故障地点を一つのモニターでカメラ監視するなど不十分な対応を続けていた。

 東電は9月に公表した報告書で理由をまとめた。背景にはコスト削減があった。経営難の東電は、柏崎刈羽のテロ対策を委託していた外部企業との契約を縮小。その時期から侵入検知器の故障が多発するようになったという。

 契約変更の影響を検討した形跡もなく、第三者検証委員会が実施したアンケートでも、柏崎刈羽所員の回答者の4分の1が「経営層はテロ対策よりもコスト削減などの利益を優先している」と答えた。コスト削減を優先しないと約束した保安規定に反していることは明白で、規制委は審査を即刻やり直すのが筋だ。

 福島第一原発でも今年8月、汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS)でフィルターの損傷が発覚。2年前にも同じフィルターが損傷していたが、交換するだけで原因を調べず対策も講じなかった。東電は放置していたことを、記者会見で質問されるまで明らかにしなかった。

 収束作業で発生するがれきなどの廃棄物保管でも、今年に入ってから定められた管理をしていない廃棄物が急増していることが判明。これも、規制委からの指摘を受けるまで明らかにしなかった。
 福島第一でトラブルが続けば、被災者や周辺自治体に多大な不安を与える。そう自覚していれば、迅速に情報を発信するはずだ。不都合なことを説明しようとしない東電には、被災者の苦しみを思いやる姿勢が全く感じられない。

 東電は事業計画で「事故対応こそが原点であり、福島への責任を果たすために存続を許された」と宣言する。しかし、事故前から続くリスク軽視の企業体質は変わらず、説明にも後ろ向き。責任を感じているのかすら疑わしい。

 問題が起きても「信頼回復に努める」と釈明を繰り返すだけ。もはや言葉で、東電がいう「広く社会の皆さま」を納得させることは不可能だ。まずは柏崎刈羽の再稼働を断念し、福島事故への対処に全力を傾けることが、自らの宣言に則したあるべき姿だ。

【関連記事】東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ

fp1100pcgateway2000 at 09:40コメント(0) 

2021年10月25日

柏崎原発でケーブル焦げる 放射性物質漏れなし 2021年10月25日

柏崎原発でケーブル焦げる 放射性物質漏れなし 2021年10月25日 21時14分

 25日午後5時半ごろ、新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力柏崎刈羽原発で1号機周辺のケーブルが焦げているのを同社社員が発見し、119番した。柏崎市消防本部は火災と判断した。東電によると、外部への放射性物質漏れはなく、けが人もいないという。

 東電によると、焦げたのは1号機タービン建屋南側にある排水ポンプのケーブル。雨水を排水するポンプを動かすための電源につながっており、24日に起きた電源設備故障に伴う点検作業の途中で社員が発見した。

 柏崎刈羽原発では9月にも、3号機のタービン建屋地下3階で電源ケーブルの一部が焼ける火災が発生しており、原因を調べている。

fp1100pcgateway2000 at 21:14コメント(0) 
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