六ヶ所村・電源開発・大間・東通村・日本原燃

2020年05月06日

六ヶ所再処理工場の試験で海に放出されたトリチウムは、福島総量の2.5倍?5倍?─本格運転で毎年海洋放出するのは? 2020. 5. 6

六ヶ所再処理工場の試験で海に放出されたトリチウムは、福島総量の2.5倍?5倍?─本格運転で毎年海洋放出するのは? 2020. 5. 6

『再処理工場「審査終了まで一歩」』、『再処理工場 来月[5月]合格』などと報じられています。連休明けにも、原子力規制委員会が六ヶ所再処理の運転に合格証を出すかもしれないとのことです。合格となれば、工場は、来年竣工となり、再来年初頭から再処理を開始、徐々に処理量を増やし、2025年度からは年間800トンという設計容量でのフル操業に入るという計画です(下表参照)。その六ヶ所再処理工場では、最大で福島第一原発のタンクに含まれるトリチウムの総量の約10倍が海洋放出される計画ですが、そのことがほとんど議論されていません。

日本原燃再処理計画
年度 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027
再処理量(トン・
ウラン)/年 80 320 480 640 800 800 800

出典: 再処理事業変更許可申請書の一部補正の主な内容について(pdf) 日本原燃 2017年12月22日
*報道によると、2021年度運転開始は2022年1-3月期開始を意味するとのこと。
日本原燃 燃料受け入れを21年度に再開へ 六ケ所の再処理工場 /青森 毎日新聞 2019年2月4日

政府は、まず、同工場の試運転で2006年度から2008年度にかけて放出されたトリチウムの量について、詳しく説明し、それに基づいて、工場が現在の計画通り2022年から運転を開始した場合に毎年放出されるトリチウムの量とその影響について、少なくとも、福島第一からの放出についてと同等の丁寧な説明、公聴会開催、意見聴取などを実施する責任があります。

「福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント兼廃炉・汚染水対策最高責任者」という経歴の持ち主が社長を務める日本原燃も、少なくとも福島の放出についてと同様のレベルで、青森県及び周辺県・道の住民・関係者に対する説明責任を果たすべきであることは言うまでもありません。

放出実績は、福島総量の2.5倍?5倍? フル操業時は毎年5倍?10倍?

日本原燃の六ヶ所再処理工場(青森県六ケ所村)で2006年から2008年にかけて実際の使用済み燃料のせん断・溶解を伴う「アクティブ試験」を行った際に海に放出されたトリチウムの量は、同社の報告によると合計約2150兆ベクレル(Bq)でした。(*注1)

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これは、福島第一原発のタンクから最大30年かけて放出される計画の総量約860兆ベクレルの約2.5倍に達します。(実は、2007年10月3日には、1日で523兆ベクレルを海洋放出しています。福島総量の約6割に達する量です。(*注2))
 
六ヶ所再処理工場が年間800t処理した場合のトリチウムの海洋放出の「管理目標値」(2018年に保管燃料の古さを反映すべく変更)は、年間9700兆ベクレルとなっています。2006年3月31日に始まった「アクティブ試験」で再処理されたのは425トンですから、比例計算では、試験による海洋放出量は合計約5000兆Bqとなります。上述の実際の計測値2150兆ベクレルは、その半分弱です。(*注3)

海洋放出の「管理目標値」9700兆ベクレルは、福島の総量約860兆ベクレルの10倍以上を意味します。フル操業に入った場合には、これだけの量のトリチウムが液体として海に放出されうるということです。一方、「アクティブ試験」時の実績をもとに大雑把な推定をすると、福島の総量の約5倍が毎年海洋放出されるということになりますが、これが妥当な計算方法と言えるかどうかは定かではありません。これについては、後で、もう一度見てみましょう。

「管理目標値」とは?

六ヶ所再処理工場では、トリチウムを回収する計画がなく、使用済み燃料の中に含まれるトリチウムがそのまま全量放出されてよいことになっています。そのため、トリチウムの液体放出「管理目標値」は、処理される使用済み燃料の中に含まれるトリチウムの全量が液体として海に放出された場合の値ということになっています。「管理目標値」という用語は、放出量を減らすために何か努力をしているかのような印象を抱かせますが、トリチウムに関しては「存在量」でしかありません。

他の水素と同じようにふるまうトリチウム(三重水素)の回収は技術的・経済的に難しいからそのまま放出することに決めたということです。希ガスのクリプトン85と炭素14も同じように全量放出という扱いです。ところが、1988年に青森県議会に北村知事名で提出された「内部資料」にある再処理工場の図面では、「クリプトン処理建屋」と「トリチウム処理建屋」が登場していたと故高木仁三郎原子力資料情報室代表が指摘しています(同氏著書『下北半島六ヶ所村核燃料サイクル施設批判』(1991年 七ツ森書館)の177ページに図面)。

トリチウムの液体放出「管理目標値」は、2018年にそれまでの1京8000兆ベクレルから9700兆ベクレルに変更されました。(*注4)ウランの「三体核分裂」によって生じるかけらの一つであるトリチウムの使用済み燃料内存在量は、燃料がどのくらい燃やされたかという「燃焼度」と炉から取り出してからの期間によります。トリチウムは、半減期が12.3年と比較的短いため、長期保管のものではその量が顕著に減っていきます。上の変更は、日本原燃が、2018年に、事業指定申請書における「基準燃料」の設定を変更したことによります。「平均燃焼度45,000MWd/tU」の使用済み燃料を4年間冷却後再処理という想定から、同15年間冷却後再処理という想定に変えたのです。完成が遅れ続けて保管燃料が古くなっていることを反映したものです。

トリチウムの液体放出「管理目標値」がすなわち、「処理される使用済み燃料に含まれると推定されるトリチウムの総量」であることについては、日本原燃の前身である日本原燃サービス関係者による『六 ケ所再処理工場の放射線安全について』(保健物理, 25, 399~409 (1990))にある次の説明が参考になります。

(3) 放射性廃棄物 の推定放出量
使用済燃料中に保有する各核種の量を, 年間再処理量, 800t・Upr, 1日 当り再処理する使用済燃料の平均燃焼度5,000MWd/t・Upr以下, 冷却期4年の条件を基に, ORIGEN2コードを使用して推定する。・・・
・・・トリチウムは,水の状態で廃液中に移行し, 使用済燃料中に保有する全量を海洋放出管を経て放出するものとする。

気体廃棄物および液体廃棄物の環境へ放出される放射性物質の推定年間放出量を, 第3表に示す。

そしてその第3表の「液体廃棄物の推定放出量」のところには、2018年までの「管理目標値」と同じ年間1京8000兆ベクレルという数字が載っています。

再処理された燃料中の推定含有量と実測放出量

「アクティブ試験」の際には、「管理目標値」に関連した「基準燃料」(平均燃焼度45,000MWd/tU、4年間冷却)のデータを使うのではなく、実際に再処理された使用済み燃料のデータからその中に含まれるトリチウムの量を推定し、それと実際に放出された量の比較を行っています。

日本原燃の報告書『再処理施設アクティブ試験(使用済燃料による総合試験)経過報告(第4ステップ)(pdf)』(2008年2月27日)(13ページ)は、計算によって使用済み燃料の中に含まれると推定されたトリチウムの量と放出実績値の違いについて論じ、この違いが生じるのは、トリチウムの一部が燃料被覆管(ハル)に移行するためであり、計算で得られる使用済み燃料中の放射能量の「半分を推定放出量として運転計画を立案すれば適切に管理できる」と述べています。

海洋に放出するトリチウムについては、実際に放出された放射能量の他、酸回収設備と低レベル廃液処理建屋内に滞留するトリチウムが評価期間終了後に海洋放出されると予想されることから、その放射能量を加えると、ORIGEN2 により算出した使用済燃料中の放射能量の約0.5倍が、海洋放出されるものと評価できる。これは、ORIGEN2 の算出値(使用済燃料の放射能量)の半分程度がハルに移行する※2とされていること等が要因と考える。

このことから、海洋に放出するトリチウムについては、処理する使用済燃料のORIGEN2の算出値(使用済燃料の放射能量)の半分を推定放出量として運転計画を立案すれば適切に管理できると考えるが、この管理手法については、燃焼度、PWR燃料とBWR燃料の燃料種別等の違いによるトリチウムの挙動を把握するため、今後第5ステップにおいても更にデータを取得し、継続的に評価を行う予定である。…

※1;“再処理施設における放射性核種の挙動”,日本原燃株式会社,他,JNFS R-91-001 改1 平成8年4月:事業変更許可申請書 添付書類七の評価における参考文献
※2;山之内種彦,他“再処理工場におけるトリチウムの挙動”,核燃料サイクル開発機構,TN841-81-37(pdf) 1981年3月

使用済み燃料のせん断・溶解後、ある時点で評価期間を区切って放出量を評価した場合、一部のトリチウムは、まだ施設内にとどまっていて、評価期間後に放出される可能性があるのでこれを考慮する必要があることを加味すると、存在量の約半分が海洋放出されると見ていいようだとの結論です。ここで半分と言っているのは、当時の放出「管理目標値」の話ではなく、実際に再処理された使用済み燃料のデータから算出されるトリチウム含有量の半分のことであることに注意する必要があります。

これまでの数字をまとめると

トリチウム放出量まとめ 福島第一原発タンク保管総量(30年かけて放出?) 860兆ベクレル
六ヶ所再処理工場海洋放出 備考
放出実績 アクティブ試験 2006-08年(425トン) 2150兆ベクレル 福島総量の2.5倍
2007年10月3日 523兆ベクレル 福島総量の60%
フル操業(800トン/年)海洋放出計画 年間海洋放出管理目標 9300兆ベクレル 福島総量の約10倍
実際の海洋放出量 アクティブ試験から推定? 福島総量の約5倍?

「アクティブ試験」の結果と今後の放出計画についての説明を!

日本原燃は、「継続的に評価を行う予定」と述べていますが、その後、英仏の経験などとも照らし合わせた結果、どういう結論に達したのでしょうか。

福島のトリチウムの放出について様々な議論があることを考えれば、政府と日本原燃は、完成を間近に控えた六ヶ所再処理工場からのトリチウム放出の実績と今後の放出計画について分かりやすい説明をする責任があります。

六ヶ所再処理工場がフル操業を始めた場合に毎年放出されるのは、福島の総量の5倍、10倍? それとも?


注1 日本原燃の安全協定に基づく定期報告書にある実績値から合算
2006年度490兆ベクレ
2007年度1300兆ベクレル
2008年度360兆ベクレル
合計 2150兆ベクレル

注2: 六ヶ所再処理工場からの放射能の海洋放出 美浜の会 2007年12月3日

注3 *425トンについては、例えば次を参照
再処理工場およびMOX燃料工場の竣工時期の変更について(pdf) 2018年2月6日 4ページ

◆再処理⼯場の概要
■アクティブ試験中
■処理能⼒ 800tU/年、4.8tU/⽇
■アクティブ試験における再処理量
約425tU

上の記述にあるように「アクティブ試験」は、2009年以降も続く(ガラス固化試験)が、せん断・溶解が2008年に終わったことについては以下を参照(トリチウム放出量も2009年度以降は激減していることは上のグラフからも見て取れる)
再処理施設アクティブ試験(使用済燃料による総合試験)第5ステップ経過報告及びアクティブ試験総合評価等経過報告【公開版】(pdf) 日本原燃株式会社 2010年6月28日(152ページから)の「図-2 アクティブ試験の実績工程」
なお、この資料2ページに以下のようにあることに注意:

第4ステップにおいては、高レベル廃液を確保するため、当初計画のPWR燃料約110t・UPr※1に追加し、第5ステップでせん断する予定だったBWR燃料約55t・UPrを先行してせん断した。」

*アクティブ試験に使われた燃料については以下を参照。

表-1 アクティブ試験中に使用する使用済燃料 種類 量 体数 燃焼度 冷却期間
加圧水型軽水炉燃料
PWR(17×17 型) 約 90t・UPr
(注2) 約200体 約 12,000~47,000 MWd/t・UPr 約8~20年
加圧水型軽水炉燃料
PWR(15×15 型) 約 110t・UPr 約240体 約 34,000~47,000 MWd/t・UPr 約6~15年
加圧水型軽水炉燃料
PWR(14×14 型) 約 10t・UPr 約20体 約 32,000~36,000 MWd/t・UPr 約9~17年
沸騰水型軽水炉燃料 BWR(8×8 型) 約 220t・UPr 約1250体 約 18,000~40,000 MWd/t・UPr 約8~20年

(注1)量等については計画であり、試験計画の進捗により変更があり得る。
(注2)「t・UPr」は、照射前金属ウラン重量換算を示す。

出典:「再処理施設アクティブ試験計画書(使用済燃料による総合試験)」 日本原燃(2011年10月13日改訂版)3ページ

注4 日本は、福島トリチウム・ストロンチウム汚染水の放出と六ヶ所再処理工場運転計画中止を!と韓国専門家 (核情報 2020. 3. 6)の「参考」にある「六ヶ所再処理工場から放射性物質の予定される放出管理「目標値」」を参照

参考

六ヶ所フル稼働なら福島処理水のトリチウム全量の10倍以上を毎年放出  核情報 2020. 4.14
再処理工場はトリチウム問題を拡大すると日韓の専門家──英文原子力業界誌で 核情報 2020. 3.19
日本は、福島トリチウム・ストロンチウム汚染水の放出と六ヶ所再処理工場運転計画中止を!と韓国専門家  核情報 2020. 3. 6



資料編
アクティブ試験の概要 日本原燃



アクティブ試験とは…?  アクティブ試験は、通水作動試験や化学試験、ウラン試験という段階的な試験の一環として、操業前の最終段階の試験として実施するものです。
 アクティブ試験では、実際の使用済燃料を用いて、プルトニウムや核分裂生成物の取り扱いに係る、再処理施設の安全機能および機器・設備の性能を確認するものですが、具体的には、核分裂生成物の分離性能、ウランとプルトニウムの分配性能、環境への放出放射能量、放射性廃棄物および固体廃棄物の処理能力などの確認を行います。
試験で使用する使用済燃料
種類 重量
加圧水型軽水炉燃料
(PWR燃料) 約210トン(約460体)
沸騰水型軽水炉燃料
(BWR燃料) 約220トン(約1,250体)
計 約430トン
(注)上記数量は試験計画の進ちょくにより変更することがあります。また、重量は照射前の金属ウランの重量です。
なお、現在、日本の原子力発電所から出る使用済燃料には、原子炉の種類によってPWR燃料とBWR燃料の2種類あります。

アクティブ試験の進め方  アクティブ試験では、使用済燃料の種類・燃焼度・冷却期間を考慮し、5つのステップを設けて、段階的に取扱量を増やしながら、施設の安全機能および機器・設備の性能、工場全体の安全機能および運転性能を確認します。

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■施設の安全機能および機器・設備の性能を確認

第1ステップ 前処理建屋せん断・溶解施設のA系列でPWR燃料により確認 燃焼度 低~中
冷却期間 長~中 約30トン
ホールドポイント1
第2ステップ 引き続き、A系列でPWR燃料により確認後、BWR燃料についても確認 燃焼度 低~中
冷却期間 長~短 約60トン
ホールドポイント2
第3ステップ 第1、第2ステップで確認した事項を中心にB系列で確認 燃焼度 低~高
冷却期間 長~短 約70トン

■工場全体の安全機能および運転性能を確認

第4ステップ 工場全体の処理性能などをPWR燃料により確認
高レベル廃液ガラス固化設備の試験の実施に必要な高レベル廃液を確保するためにBWR燃料を追加処理 燃焼度 低~高
冷却期間 長~短 約160トン


第5ステップ 工場全体の処理性能などをBWR燃料により確認 燃焼度 低~高
冷却期間 長~短 約105トン
※ ホールドポイントでは、線量当量率、空気中の放射性物質濃度、溶解性能、核分裂生成物の分離性能、環境への放出放射能量などを評価。
 これらの評価は、第1ステップおよび第2ステップで一通り確認できることから、同ステップ後にホールドポイントを設定。

※燃焼度…低  30,000MWd/t未満
中  30,000~36,000MWd/t
高  36,000MWd/tを超える
MWd/t…燃料の燃焼度の単位
※冷却期間…短  9年未満
中  約10~18年
長  18年を超える

アクティブ試験の計画書及び報告書 日本原燃

アクティブ試験の計画書及び報告書

■アクティブ試験計画書

■アクティブ試験中間報告書(その1)

■アクティブ試験中間報告書(その2-1)

■アクティブ試験中間報告書(その2-2)

■アクティブ試験経過報告(第3ステップ)

■アクティブ試験経過報告(第4ステップ)

■アクティブ試験経過報告(第5ステップ)

■アクティブ試験経過報告(第5ステップその2)

なぜ六ヶ所再処理工場の運転を阻止したいのか(pdf) 小出 裕章 ( 「終焉に向かう原子力」(第7回) 2008年12月13日)
六ヶ所再処理工場周辺での空気中トリチウム濃度の測定について(pdf) 小出 裕章 (六ヶ所再処理工場放出放射能測定グループ主催報告会2009年3月21日)
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験第2ステップ・中間報告書(その2)批判 美浜の会 2006年12月27日
川田龍平議員 福島第一原発の十一万倍ものトリチウムが六ヶ所再処理工場から海洋へ放出されたことに関する質問

質問主意書 2015年3月2日
答弁書 2015年3月10日
 *上記質問主意書及び答弁書についての「三陸の海・岩手の会」による解説(pdf)
再質問主意書 2015年4月28日
答弁書 2015年5月12日




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2020年05月01日

ウラン容器の封印破損 原燃に規制庁厳重注意/濃縮工場 2020年5月1日

ウラン容器の封印破損 原燃に規制庁厳重注意/濃縮工場 2020年5月1日

 日本原燃は30日、ウラン濃縮工場(青森県六ケ所村)Bウラン貯蔵室で、原子力規制庁が容器に取り付けていた査察用のワイヤ製の封印が切れる事象が発生し、規制庁から厳重注意を受けたと公表した。破損は3月27日に発覚、原燃が原因を調べたが特定できなかったという。ワイヤは同月30日に規制庁職員が交換した。

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2020年04月27日

内閣府が津波20m痕跡論文除外 専門家は批判、東通原発周辺砂丘 2020/4/26 17:43

内閣府が津波20m痕跡論文除外 専門家は批判、東通原発周辺砂丘 2020/4/26 17:43

 内閣府が21日に公表した太平洋岸を襲う最大級の津波想定で、東北電力東通原発(青森県東通村)の約10キロ北にある「猿ケ森砂丘」で海抜約20mの津波の痕跡を報告した論文が、考慮の対象から外されていたことが26日、分かった。専門家からは「砂丘は地形が変わりやすく過去の津波の復元は難しい。高さ20mは否定しきれない」との批判が出ている。

 内閣府は、東通村の津波の最大高さは13.9mで、海抜16mの防潮堤がある東通原発は浸水しないとした。

 箕浦幸治東北大名誉教授は2013年の論文で、猿ケ森砂丘に数百年前の砂や泥、倒木を確認、20m超の津波の痕跡だと指摘した。


fp1100pcgateway2000 at 17:43コメント(0) 

2020年04月14日

六ヶ所フル稼働なら福島処理水のトリチウム全量の10倍以上を毎年放出 2020. 4. 14

六ヶ所フル稼働なら福島処理水のトリチウム全量の10倍以上を毎年放出 2020. 4. 14

福島第一原子力発電所に林立するタンクに貯蔵されているトリチウムを含んだ汚染水の処分方法をめぐる議論の中で、どういうわけか2022年初頭に運転開始予定の六ヶ所再処理工場のことが忘れ去られています。同工場が25年にフル操業に入れば、毎年、福島の総量の10倍以上のトリチウムが放出される計画になっています。海外の原子力施設でもトリチウムが放出されていることを強調する政府の図は、福島の総量が約860兆ベクレル(Bq)であるのに対し、フランスの再処理工場では年間海洋放出量が1京3700兆Bqであることを示していますが、六ヶ所では最大年間9700兆Bqが海洋放出される計画であることには触れていません。

ちなみに、日本原燃の社長は、「福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント兼廃炉・汚染水対策最高責任者」という経歴の持ち主。この問題について、青森県はもちろん、周辺県・道の住民・関係者の理解を得ることの重要性を認識しておられるのではないでしょうか。

以下、簡単に事実関係をまとめ、最後に、関連資料集(抜粋引用付き)を添えておきます。
参考

再処理工場はトリチウム問題を拡大すると日韓の専門家──英文原子力業界誌で 核情報  2020. 3.19
日本は、福島トリチウム・ストロンチウム汚染水の放出と六ヶ所再処理工場運転計画中止を!と韓国専門家 核情報 2020. 3. 6


事実関係のまとめ
福島のタンク内汚染水に関する検討状況

2013年12月から経済産業省の汚染水処理対策委員会下に設置された「トリチウム水タスクフォース」で検討を開始。その後、16年11月から同委員会の下に設置された「多核種除去設備[ALPS]等処理水の取扱いに関する小委員会」(ALPS小委員会)で検討を継続。18年夏の福島及び東京での計3回の公聴会を経て、20年2月10日に発表された同小委報告書では、地層注入、水素放出、地下埋設、水蒸気放出、海洋放出の5つの選択肢のうち水蒸気放出及び海洋放出が現実的とし、推奨。ALPSでトリチウム以外の核種を基準値以下まで「浄化」した後、薄めて放出するというもの。水蒸気放出と海洋放出のうち、海水で希釈後放出という実績のある後者のメリットを強調も結論を出さず。政府は、今後、「関係者の御意見を伺う場を開催」した後、処分方針決定との計画(決定後の許認可に2年程度の見込み)。
議論の整理

福島の汚染水に関する二つの問題

1)事故のため既に総量Aのトリチウムがタンク保管状態にあり、2022年夏に満杯になると想定。対処が必要。
希釈海洋放出はやむを得ない措置か?
他に適切な方法があるか?
2)不必要な使用済み燃料再処理を実施し、Aの10倍量を毎年放出する計画について、3.11以後、これまで、公聴会はもちろん、議論がほとんどない。今後、「関係者の御意見を伺う場を開催」の計画もない。

ここで取り上げるのは、2)。
マスコミ・国会での議論が必要ではないか。
*1)については、例えば、以下を参照

東電福島第一原発で増え続ける、放射能を含んだ「処理水」Q&A FoE Japan 2020年3月24日
トリチウム水は海に流すのが“簡単”という結論~ALPS小委報告書を読み解く 木野龍逸 2020/3/22(日)
【ALPS処理汚染水、大気・海洋放出で本当にいいの? パブコメを出そう!(〆切5月15日)】FoE Japan 2020年4月7日


トリチウム量の比較

(下の六ヶ所の目標値と福島貯蔵量の表2つを参照)
福島のタンク総量 約860兆ベクレル。

小委報告書を受けて出された東電素案(3月24日)pdfでは、最大30年ほどかけて徐々に放出の計画
六ヶ所再処理工場 毎年9700兆ベクレルを海洋放出の計画

*上記は六ヶ所再処理工場が年間800t処理した場合の上限を定めた「管理目標値」(計画では2025年度に年間800トン処理のフル操業開始)

2006~2008年の試運転で425t処理の際 合計約5000兆Bq海洋放出(管理目標値からの計算)?
東海再処理工場1977~2007年1140t処理 累積海洋放出量4500兆Bq

*出典は、放出実績の項を参照
小委報告書後の政府方針

上述の通り、6年以上に亘って経済産業省の委員会で汚染水の取り扱いについて議論。最終的に、2020年2月10日に発表された
「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」報告書(pdf)
は、水蒸気放出及び海洋放出が現実的とし、二つのうち海洋放出の方が実績もあるとメリットを強調しながらも、最終決定は政府に預けた格好。

経産省は、小委報告書の発表(2月10日)に当たって、「今後、政府として、本委員会の報告書も踏まえ、地元をはじめとした幅広い関係者の意見を聞きながら、処分方法のみならず、併せて講ずるべき風評被害対策についても、検討」との方針を示し、3月30日には、政府として「処理水の扱い方針を決定するため、地元自治体や農林水産業者を始めとした幅広い関係者の御意見を伺う場を開催」との計画を発表。御意見を伺う場の第1回(4月6日)及び第2回(4月13日)を、福島市で開催。
4月7日、梶山弘志経済産業相が「今後の検討に貴重な示唆をいただいた。国として責任を持って結論を出していきたい」と発言。

福島第1処理水「責任持ち結論」 経産相 福井新聞 2020年4月8日

不思議な地図(下の図参照)

小委が2018年8月に開かれた公聴会用に作成した資料にある【参考8-3】「世界の原子力発電所等からのトリチウム年間排出量 海外の原発・再処理施設においてもトリチウムは海洋・気中等に排出」には日本の施設が入っていない。だが、仏再処理施設が2015年に約1京3700兆Bq海洋放出したことを示し、再処理工場の放出量の突出ぶりを印象付ける結果に。

2020年2月の小委報告書にある「図6.国内外の原子力施設からのトリチウムの年間放出量について」には日本の原発が入るが東海再処理工場及び六ヶ所再処理工場のデータが入っていない。
小委報告書作成経緯整理(報告書より)

2013年 4月26日
汚染水処理対策委員会 第1回開催
12月25日
同委員会の下に設置された「トリチウム水タスクフォース」第1回開催
多核種除去設備(ALPS)処理水の取扱いについて、様々な選択肢について評価・検討を開始
2016年 6月3日
タスクフォース報告書発表
9月27日
第18回汚染水処理対策委員会において、同報告書を踏まえ、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(ALPS小委員会)設置決定。(ALPS処理水の取扱いについて、風評被害など社会的な観点等も含めて、総合的な検討を行うことを目的とする)
11月11日
同小委員会第1回開催
2020年 1月31日
第17回 報告書最終案審議
2月10日
報告書発表


資料編
放出実績
東海
中野政尚,國分祐司,武石稔 東海再処理施設から海洋放出されたトリチウムの海水中濃度及び拡散状況(pdf) 保健物理, 44(1), 60~65(2009)

ホット試験開始の1977年度から2007年度までの31年間にわたる累積放出量は4.5×1015Bq

東海再処理施設の運転実績(pdf)

六ヶ所

試運転──06~08年試運転で425t処理
年間800トン処理の場合の管理目標値から推定すると、約5000兆Bqのトリチウムを放出?
六ヶ所の目標値と福島貯蔵量

六ヶ所再処理工場から放射性物質の予定される放出「目標値」

【せん断処理までの期間15年以上の放出管理目標値】
(気体) 核種 放出管理目標値 (Bq/y)
Kr-85 1.6×1017
H-3 1.0×1015
C-14 5.1×1013
I-129 1.1×1010
I-131 1.0×1010
その他核種  
 α線を放出する核種 3.1×108
 α線を放出しない核種 7.5×109
(液体) 核種 放出管理目標値 (Bq/y)
H-3 9.7×1015
毎年9700兆Bqの
トリチウム(H-3)放出
I-129 4.3×1010
I-131 1.0×1011
その他核種  
 α線を放出する核種 3.6×109
 α線を放出しない核種 9.5×1010

出典:『六ヶ所再処理施設及びMOX燃料加工施設における新規制基準に対する適合性─放出管理目標値の変更』(pdf) 日本原燃株式会社 2018年5月9日 より作成

核情報注:
表は、トリチウムのほか、約50兆Bqの炭素14と、約500億Bqのヨウ素129が毎年放出されることを示している。使用済燃料を直接処分した後、処分場での漏洩によって地表に被ばく被害をもたしうる放射性核種のうち、主要な位置を占めるもの。再処理推進派は、プルトニウム他の超ウラン元素が何百年、何千年か先に地表に影響を与えるのを防ぐために再処理で取り出しておくべきだと主張するが、再処理の瞬間に上記の核種を放出してしまうことには触れようとしない。

福島第一原子力発電所における2019年10月31日までのタンク内のトリチウム量の総量

処理水中に含まれるトリチウムの総量について


タンク水位 実測or推定 貯蔵量 トリチウム量
ALPS処理水タンク(実測値) 実測 約83万m3 約506兆Bq
ALPS処理水タンク等*1(推定値) 推定 約34万m3 約350兆Bq*2
合計 約117万m3 約856兆Bq
*1:測定未実施・移送中のALPS処理水タンク及びストロンチウム処理水タンクを含む。
*2:推定値であるため、今後、実測の結果によって値を見直す可能性がある。

出典:第15回 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会
多核種除去設備等処理水の貯蔵・処分の時間軸 2019年11月18日
東京電力ホールディングズ株式会社(pdf) p.1 処理水中に含まれるトリチウムの総量について

東海・六ヶ所再処理工場が登場しない経産省の図

再処理施設から大量のトリチウムが放出されることを示すも、東海・六ヶ所再処理工場が登場しない。
公聴会で使われた図には、日本の施設が登場しない。

世界の原子力発電所等からのトリチウム年間排出量

出典:多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会(経済産業省:2018年7月31日)より
多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 説明・公聴会資料(pdf:5518KB) 38ページ

*核情報注:
 英再処理施設は2015年に約1540兆Bq海洋放出。英施設は同年には少量の使用済み燃料しか再処理していない。
 仏再処理施設は2015年に約1京3700兆Bq海洋放出。仏施設は毎年、約1200tの使用済み燃料を処理。
 六ヶ所再処理工場は、フル操業時(2025年からの計画)、毎年、800tの使用済み燃料を再処理。海洋放出の管理目標値は年間9700兆Bq。
小委報告書で使われた図には、日本の原発が登場するが、東海・六ヶ所再処理工場は登場しない。

国内外の原子力施設からのトリチウム年間排出量

出典:2020年2月小委員会報告書(pdf) 21ページ
*2020年3月24日の東電資料
「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案について」(pdf) 23ページも上の図を使用
六ヶ所再処理工場運転計画

2021年度上半期竣工
2022年1月から再処理開始
2025年度からフル操業 年間800トン処理

再処理施設の使用計画

2018再 計 発 第326号
2019年1月31日

原子力規制委員会 殿

住所 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字沖付4番地108
氏名 日本原燃株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 増田 尚宏

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第46条の4及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則第7条の13第1項 (第2項、第3項)の規定により次のとおり届け出ます。
工場又は事業所 名称 再処理事業所 再処理設備の系列名 再処理設備
所在地 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮 年間の最大再処理能力(トン) 800
項目 使用済燃料受入れ量 再処理量 期末在庫量 プルトニウム製品 ウラン製品 その他の有用物質 期末在庫量
年度別 期別 燃料体数
(体)※1 ウランの量
(トン)※2 燃料体数
(体)※1 ウランの量
(トン)※2 燃料体数
(体)※1 ウランの量
(トン)※2 生産量
(kg)※2 払出量
(kg)※2 生産量
(トン)※2 払出量
(トン)※2 生産量
(kg) 払出量
(kg) プルトニウム製品
(kg)※2 ウラン製品
(kg)※2 その他の有用物質
(kg)
2019年度 上期 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 8583 BWR 1484 0 0 0 0 - - 6658 365548 -
PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 3486 PWR 1484
下期 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 8583 BWR 1484 0 0 0 0 - - 6658 365548 -
PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 3486 PWR 1484
計 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 0 0 0 0 0 - -
PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 0
2020年度 上期 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 8583 BWR 1484 0 0 0 0 - - 6658 365548 -
PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 3486 PWR 1484
下期 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 8583 BWR 1484 0 0 0 0 - - 6658 365548 -
PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 3486 PWR 1484
計 BWR 0 BWR 0 BWR 0 BWR 0 0 0 0 0 - -
PWR 0 PWR 0 PWR 0 PWR 0
2021年度 上期 BWR 12 BWR 2 BWR 0 BWR 0 BWR 8595 BWR 1486 0 0 0 0 - - 6658 365548 -
PWR 7 PWR 3 PWR 0 PWR 0 PWR 3493 PWR 1487
下期 BWR 12 BWR 2 BWR 282 BWR 48 BWR 8324 BWR 1440 1962 0 109 0 - - 8620 474860 -
PWR 7 PWR 3 PWR 73 PWR 32 PWR 3427 PWR 1458
計 BWR 24 BWR 4 BWR 282 BWR 48 1962 0 109 0 - -
PWR 14 PWR 6 PWR 73 PWR 32
合計 BWR 24 BWR 4 BWR 282 BWR 48 1962 0 109 0 - -
PWR 14 PWR 6 PWR 73 PWR 32

[燃料体の種類の略号] BWRは発電用の軽水減速、軽水冷却、沸騰水型原子炉の使用済ウラン燃料を示す。PWRは発電用の軽水減速、軽水冷却、加圧水型原子炉の使用済ウラン燃料を示す。

注記 : ウランの量は照射前金属ウラン質量換算とする。
プルトニウム製品は、ウラン・プルトニウム混合酸化物製品の金属ウラン及び金属プルトニウムの合計質量換算とする。
ウラン製品は、ウラン酸化物製品の金属ウランの質量換算とする。
ウラン試験に用いた劣化ウラン(金属ウラン質量換算:51.7t・U)は、ウラン製品には含めない。
使用済燃料による総合試験中の再処理量等を含む。
数値は当社の想定であり、使用済燃料再処理等実施中期計画に基づき再処理を行う。

※1: 燃料体数が確定していない場合、ウランの量より算出し、各欄毎に端数処理(四捨五入)を実施しているため、上期・下期の和と計が一致しない場合がある。

※2: 各欄毎に端数処理(四捨五入)を実施しているため、上期・下期の和と計が一致しない場合がある。

出典 再処理施設の使用計画(pdf) 日本原燃 2019年1月31日

(2)「再処理の事業の開始の日以後10年内の日を含む毎事業年度における使用済燃料の種類別の予定再処理数量及び取得計画」について

網掛け部分が変更箇所です。

◯予定再処理数量 (単位: t・Upr) 種類 年度 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031
発電用BWR使用済
ウラン燃料 48 192 288 640 800 800 800 800 800 800 800
発電用PWR使用済
ウラン燃料 32 128 192
○取得計画 (単位: t・Upr) 種類 年度 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031
発電用BWR使用済
ウラン燃料 4 48 192 480 800 800 800 800 800 800 800
発電用PWR使用済
ウラン燃料 6 32 128
(3)「再処理の事業の開始の日以後10年内の日を含む毎事業年度における製品の種類別の予定生産量」について

網掛け部分が変更箇所です。
○予定生産量 種類 年度 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031
ウラン酸化物 (t・U) 73 293 439 586 732 732 732 732 732 732 732
ウラン・プルトニウム
混合酸化物 (t・U+Pu) 1 6 9 11 14 14 14 14 14 14 14

出典:再処理事業変更許可申請書の一部補正および再処理施設の使用計画の変更届出について 2017年12月22日
再処理事業変更許可申請書の一部補正の主な内容について(pdf)より作成(年度の平成を西暦に変更)

参考

日本原燃 燃料受け入れを21年度に再開へ 六ケ所の再処理工場 /青森 毎日新聞2019年2月4日

完成後は22年1月の操業開始を見込み、同年3月までに計80トン(ウラン換算)を処理する想定だという。

小委報告書発表(2020年2月10日)に際しての経産省の説明

「今後、政府として、本委員会の報告書も踏まえ、地元をはじめとした幅広い関係者の意見を聞きながら、処分方法のみならず、併せて講ずるべき風評被害対策についても、検討していきます」

出典:多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書について
多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場

目的

多核種除去設備(ALPS)等で浄化処理した水については、風評など社会的な影響も含めた総合的な検討を、ALPS小委員会において行いました。小委員会の報告を踏まえ、今後、政府としてALPS処理水の取扱い方針を決定するため、地元自治体や農林水産業者を始めとした幅広い関係者の御意見を伺う場を開催します。
多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場

2020年4月6日 第1回
2020年4月13日 第2回

2020年2月10日小委報告書抜粋引用

多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書報告書(pdf)より

はじめに (1ページから)
・・・廃止措置が終了する際には、汚染水対策の一つである多核種除去設備(以下「ALPS」という。)等で処理した水(以下「ALPS処理水」注という。)についても、廃炉作業の一環として処分を終えていることが必要である。
ALPS処理水*の取扱いは、2013年から検討が重ねられてきた福島第一原発の廃炉の中の重要な課題の一つである。ALPSの性能向上により、検討当初とは異なり、トリチウム以外の放射性物質については、十分に浄化できるようになっているが、ALPS処理水の処分については、特に風評への影響が大きいと考えられており、地元を始め国民の関心の高い問題の一つとなっていることから、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(以下「ALPS小委員会」という。)では、科学的な側面だけではなく、風評被害など社会的な観点も含めて、総合的な検討を行ってきた。・・・

注.ALPSはトリチウム以外の62種類の放射性物質を告示濃度未満まで浄化する能力を有しているが、処理を開始した当初は、敷地境界における追加の被ばく線量を下げることを重視したことなどにより、タンクに保管されているALPS処理水*の約7割※には、トリチウム以外の放射性物質が環境中へ放出する際の基準(告示濃度限度比総和1未満)を超えて含まれている。ALPS小委員会では、こうした十分に処理されていない水について、環境中に放出される場合には、希釈を行う前にトリチウム以外の放射性物質が告示濃度比総和1未満になるまで確実に浄化処理(2次処理)を行うことを前提に、ALPS処理水の取扱いについて検討を行った(詳細はP13参照)。
したがって、本報告書の中のALPS処理水の表記については、特段の断りがない場合には、トリチウムを除き告示濃度比総和1未満のALPS処理水を「ALPS処理水」とし、十分処理されていない処理途中のALPS処理水を「ALPS処理水(告示比総和1以上)」とし、この二つ(ALPS処理水とALPS処理水(告示比総和1以上))を併せて指す場合は「ALPS処理水*」とすることとする。・・・

(1)トリチウム水タスクフォースでの検討について
2013年12月10日、汚染水処理対策委員会において、「東京電力(株)福島第一原子力発電所における予防的・重層的な汚染水処理対策~総合的リスクマネジメントの徹底を通じて~」が取りまとめられた。その中で、「汚染源を取り除く」、「汚染源に水を近づけない」、「汚染水を漏らさない」という各種の対策を講じたとしても、最終的に、ALPS処理水*を貯蔵し、管理すべきタンクの数が増大すれば、漏えい事象の発生頻度もまた増大し得ることとなり、大量に貯蔵するALPS処理水*の取扱いが課題として残存することが明確化された。
また、2013年12月4日に、国際原子力機関(以下「IAEA」という。)調査団から、ALPS処理水の取扱いについて「あらゆる選択肢を検証するべき」との助言があった。
これらを受け、2013年12月20日に原子力災害対策本部が決定した「東京電力(株)福島第一原子力発電所における廃炉・汚染水問題に対する追加対策」においても、「追加対策を講じた後になお大量貯蔵に伴うリスクが残存するトリチウム水※の取扱いについては、あらゆる選択肢について、総合的な評価を早急に実施し、対策を検討する。」と位置づけられた。
※:「ALPS処理水」を指す。
このため、ALPS処理水の取扱いについて、様々な選択肢について評価することを目的に、汚染水処理対策委員会の下にトリチウム水タスクフォース(以下「タスクフォース」という。)を設置し、2013年12月25日より検討を開始し、2016年6月3日に報告書を取りまとめた。
・・・
2016年9月27日、汚染水処理対策委員会において、タスクフォース報告書で取りまとめた知見を踏まえつつ、ALPS処理水の取扱いについて、風評被害など社会的な観点等も含めて、総合的な検討を行うことを目的とし、ALPS小委員会を設置することが決定され、同年11月11日に第1回ALPS小委員会が開催された。

まとめ p39~40
・・・
➂ALPS処理水の処分方法について
タスクフォースで検討された5つの処分方法のうち、地層注入については、適した用地を探す必要があり、モニタリング手法も確立されていない。水素放出については、前処理やスケール拡大等について、更なる技術開発が必要となる可能性がある。地下埋設については、固化時にトリチウムを含む水分が蒸発することや新たな規制設定が必要となる可能性、処分場の確保の必要がある。こうした課題をクリアするために必要な期間を見通すことは難しく、時間的な制約も考慮する必要があることから、地層注入、水素放出、地下埋設については、規制的、40技術的、時間的な観点から現実的な選択肢としては課題が多く、技術的には、実績のある水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢である。
また、社会的な影響は心理的な消費行動等によるところが大きいことから、社会的な影響の観点で処分方法の優劣を比較することは難しいと考えられる。しかしながら、特段の対策を行わない場合には、これまでの説明・公聴会や海外の反応をみれば、海洋放出について、社会的影響は特に大きくなると考えられ、また、同じく環境に放出する水蒸気放出を選択した場合にも相応の懸念が生じると予測されるため、社会的影響は生じると考えられる。
水蒸気放出は、処分量は異なるが、事故炉で放射性物質を含む水蒸気の放出が行われた前例があり、通常炉でも、放出管理の基準値の設定はないものの、換気を行う際に管理された形で、放射性物質を含んだ水蒸気の放出を行っている。また、液体放射性廃棄物の処分を目的とし、液体の状態から気体の状態に蒸発させ、水蒸気放出を行った例は国内にはないことなどが留意点としてあげられる。また、水蒸気放出では、ALPS処理水に含まれるいくつかの核種は放出されず乾固して残ることが予想され、環境に放出する核種を減らせるが、残渣が放射性廃棄物となり残ることにも留意が必要である。
海洋放出について、国内外の原子力施設において、トリチウムを含む液体放射性廃棄物が冷却用の海水等により希釈され、海洋等へ放出されている。これまでの通常炉で行われてきているという実績や放出設備の取扱いの容易さ、モニタリングのあり方も含めて、水蒸気放出に比べると、確実に実施できると考えられる。ただし、排水量とトリチウム放出量の量的な関係は、福島第一原発の事故前と同等にはならないことが留意点としてあげられる。
なお、海洋放出、水蒸気放出のいずれも放射線による影響は自然被ばくと比較して十分に小さい。加えて、風評への影響も踏まえると、いずれの方法でも、規制基準と比較して、なお十分に希釈した上での放出を行うなどの配慮を行うことが必要となる。

➃風評被害対策の方向性について
水蒸気放出及び海洋放出のいずれも基準を満たした形で安全に実施可能であるが、ALPS処理水を処分した場合に全ての人々の不安が払しょくされていない状況下では、ALPS処理水の処分により、現在も続いている既存の風評への影響が上乗せされると考えられる。このため、処分を行う際には、福島県及び近隣県の産業が、安心して事業を継続することができるよう、風評被害を生じさせないという決意の下に、徹底的に風評被害への対策を講じるべきである。・・・

⑤とりまとめに際して
政府には、本報告書での提言に加えて、地元自治体や農林水産業者を始めとした幅広い関係者の意見を丁寧に聴きながら、責任と決意をもって方針を決定することを期待する。その際には、透明性のあるプロセスで決定を行うべきである。・・・・

「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」開催状況

(2016年11月11日第1回~2020年1月31日第17回及び2020年2月10日報告書発表)
多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会情報(2016年11月11日第1回~2017年10月23日第6回)

2016年11月11日 第1回
2016年12月16日 第2回
2017年2月24日 第3回
*この時期に発表された100ページを超える次の政府委託報告書は注目される。平成28年度発電用原子炉等利用環境調査(トリチウム水の処分技術等に関する調査研究)報告書(pdf) 三菱総合研究所(2107年3月)(委託担当課:「資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課原子力発電所事故収束対応室」)

本業務では、福島第一原発のトリチウム水の長期的な取扱い方法の決定に向けた今後の検討(多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会における検討)に資するよう、必要な調査を行った。

2017年4月21日 第4回
2017年6月2日 第5回
2017年10月23日 第6回

多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(2018年2月2日 第7回~2020年1月31日 第17回及び2020年2月10日 報告書発表)

2018年2月2日 第7回
2018年5月18日 第8回
2018年7月13日 第9回
説明・公聴会(2018年7月31日)

多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会の開催について
≪富岡会場≫・日時:平成30年8月30日(木)10時00分~12時30分
≪郡山会場≫・日時:平成30年8月31日(金)9時30分~12時00分
≪東京会場≫・日時:平成30年8月31日(金)15時30分~18時00分

*この公聴会で議論されたトリチウム以外の核種の残存問題については、例えば以下を参照。

水島宏明 福島第一原発の汚染処理水の海洋放出の知られざるリスク「サンデーモーニング」が指摘した“不都合な真実”2020/3/9

【風評の深層・トリチウムとは】眼前に「処理水」…77万ベクレル 福島民友新聞 2020年02月12日

説明不足招いた『不信感』
 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)は、トリチウム以外の62種類の放射性物質の濃度を下げられる。だが、現状での処理水にはトリチウム以外の放射性物質も除去されずに残り、大半は放出の法令基準値を上回る。海洋放出など処分策の問題点として指摘され、「風評を呼ぶ」と批判を招いている。

ALPS処理水、トリチウム以外核種の残留~「説明・公聴会」の前提は崩れた FOE Japan 2018/08/29

2018年10月1日 第10回
2018年11月30日 第11回
2018年12月28日 第12回
*この後の7カ月半の空白期間が17年8月の公聴会で議論されたトリチウム以外の核種の問題の影響の大きさを物語っている。
2019年8月9日 第13回
2019年9月27日 第14回
2019年11月18日 第15回
2019年12月23日 第16回
2020年1月31日 第17回
2020年2月10日 報告書



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2019年10月27日

核燃サイクル袋小路 もんじゅ廃炉、再処理工場完成遅れ 「既に破綻」批判根強く 2019/10/27

核燃サイクル袋小路 もんじゅ廃炉、再処理工場完成遅れ 「既に破綻」批判根強く 2019/10/27 6:00

 国が原発推進の前提としてきた「核燃料サイクル」が行き詰まっている。原発で出る使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出して再利用する計画だが、中核を担うはずの高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)は廃炉が決定。使用済み核燃料の再処理工場の本格稼働も見通せない。青森県の関連施設を訪ね、核燃料サイクルの必要性や実現性について改めて考えた。

■トラブル続き

 広大な敷地に四角い建物が立ち並ぶ。同県六ケ所村にある日本原燃の原子燃料サイクル施設。プルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を作る工場などの建設が続く。

 施設の中心となる使用済み核燃料の再処理工場は当初、完成予定が1997年だった。だが工程でトラブルが続出し、完成見通しは24回も延期されている。

 目下の目標は原子力規制委員会の審査をパスすること。原燃の上島慶信報道部長は「審査は最終盤。2021年度上期の稼働を見込む」とするが、規制委幹部は「問題がないとは確認しきれていない」としており、審査に通る保証はない。

 国内の原発から運び込まれた使用済み核燃料の貯蔵プールは、ほぼ満杯で、受け入れは停止中。各原発で使用済み核燃料がたまり続けるが、原燃は「工場が稼働すれば、貯蔵分は数年で処理できる」と説明する。

■作業員まばら

 ゴゴゴ…。大音量とともにモニター画面が明滅した。同県大間町に電源開発(Jパワー)が建設中の大間原発。制御室を模した部屋で、社員たちが大地震を想定した訓練に励んでいた。

 全燃料をMOX燃料で賄う世界初の「フルMOX炉」。他原発でMOX燃料の利用が増えれば大間の利用を減らし、逆なら増やす計画で「MOX燃料を柔軟に利用する政策的な役割がある」(Jパワー)という。

 だが、同原発も規制委の審査に時間を要し、原子炉建屋など主要設備の工事が進んでいない。津軽海峡を隔てた北海道函館市は14年に建設差し止めを求めて訴訟を起こしており、現在も係争中。現場には大型部品が防さび用のビニールに覆われたまま置かれ、作業員もまばらだった。

■国策の大転換

 トラブル続きだったもんじゅの廃炉が決まったため、MOX燃料は高速増殖炉よりも燃料効率が良くないプルサーマル原発で使うしかないのが現状だ。だが国内のプルサーマル原発は、九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)をはじめ、建設中の大間を含めても5基だけ。生産されるMOX燃料を無駄なく使うのに必要とされる「16~18基」に及ばない。

 反対論も根強い。前原子力規制委員長の田中俊一氏は、核兵器に転用可能なプルトニウムが生まれることを念頭に「(核燃サイクルは)やらないほうがよい」と公言。コスト高から「既に破綻している」と批判する研究者もいる。

 再処理しなければ、使用済み核燃料の取り扱いを巡る問題が生じ、原子力政策は大転換を迫られる。国や電力業界は核燃サイクルに固執し続けるべきなのか。十分な検証と議論が必要だと痛感した。

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